中小・中核企業の経営コンサルティングを手がける株式会社グローカル(東京都千代田区、代表取締役:浅野道人)は、グループ会社の株式会社ビジョナス(東京都千代田区、代表取締役:浅野道人)と共同で「AI導入・生産性向上支援」を開発し、2026年10月1日からビジョナスが提供を始めると発表しました。開発はグローカル、販売・導入・運用はビジョナスが担うという役割分担です。
このリリースが興味深いのは、AI導入支援という競合の多い領域に、単独ではなくグループ2社の共同開発・機能分担という形で参入している点です。なぜグローカルは、自社だけで完結させず、グループ会社との連携という体制を選んだのでしょうか。
何が発表されたか——「省力化」で終わらせない設計
発表の核は、単なるAIツール導入の代行ではありません。プレスリリースでは、サービスの狙いをこう説明しています。
中小企業の存続・承継・成長を支えるAIへ
グローカルはこれまで1,000件以上の中小企業支援プロジェクトに携わってきた実績を持ちます。その知見を踏まえ、今回のサービスは「AIによる工数削減」と「生まれた社員の時間を営業・新規事業・人材育成などへ再配分する仕組みづくり」を一体で支援する設計になっています。効率化そのものをゴールにせず、削減した時間を使って何を前に進めるかまで設計に含めている点が、従来のAI導入支援と一線を画す部分だと言えます。
料金体系も明示されており、初期費用30万円(税抜)・月額費用10万円(税抜)で、対象業務は基本2業務、最低契約期間は12か月、12か月間の基本料金総額は150万円(税抜)です。追加業務の構築や既存システムの移行、個別開発、外部サービス利用料等は別途見積もりとなります。無料の業務診断からスタートし、AIに任せる作業と、生まれた時間を振り向ける仕事を同時に整理する流れを取ります。費用対効果が見込める2業務から着手し、入力・転記・集計・返信案作成などをAIが処理する一方、重要な判断やメール送信は人が確認する運用を基本とする設計です。
なぜグループ会社との共同開発という形を選んだのか
ここで注目したいのは、グローカルが単独でサービス化せず、グループ会社であるビジョナスとの共同開発・機能分担という体制を取った点です。プレスリリースによれば、ビジョナスは「グローカルグループの事業共創・商社機能を担い、中小企業、大手企業、自治体などとの連携を通じ、事業の実装・収益化を支援する会社」と位置づけられています。戦略や助言だけでなく、事業づくりから販路開拓・販売支援まで伴走する機能を持つとされています。
AI導入支援は、診断や提案だけで終わらせず、実際に現場で運用が定着するところまで伴走できるかどうかが成否を分けやすい領域です。グローカルが持つ「1,000件以上の中小企業支援」で培った診断・設計のノウハウと、ビジョナスが持つ「実装・収益化」の伴走機能を組み合わせることで、単発の提案では終わらない継続的な支援体制を作ろうとしていると読み取れます。開発と販売・運用を別会社が担う体制は、それぞれの強みを活かした役割分担である一方、サービスとして一貫した体験を提供できるかどうかが、今後の実行段階で問われる部分になりそうです。
背景にある中小企業のAI活用の実態
このサービス開発の背景として、プレスリリースは中小企業庁の調査データを引用しています。
中小企業庁の2026年版白書掲載調査では、2019年以降の省力化投資に関する集計で、AI活用に取り組んだ割合は30.3%。AI未活用の回答事業者では、63.4%が「活用する業務がイメージできていない」、40.0%が「活用を推進する人材が不足している」と回答しています。
※統計出典:中小企業庁調査室「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」(2026年6月)、16頁。AI活用状況は5,645事業者、未活用理由は3,888事業者・複数回答。
この数値が示すのは、中小企業がAI活用に踏み切れない最大の要因が「技術的な難しさ」そのものよりも、「どの業務に使えるか分からない」「進める人材がいない」という設計・推進側の課題であるという点です。グローカルは、人手不足下で事業を維持するための省力化、事業承継に向けた業務・知識の標準化、事業を伸ばすための営業や新規事業の推進を、限られた人材で進めるうえで、自社に適したAI活用を経営戦略に組み込むことが不可欠だと捉えています。ツールの選定や導入だけでなく、「どの作業をAIに任せ、生まれた時間で何を進めるか」まで設計する必要があるという問題意識が、今回のサービス設計に反映されていると考えられます。
今後の展開と読者への示唆
プレスリリースでは、今後の展開として金融機関、商工会議所、商工会との連携を進め、全国の中小企業への展開を目指す方針が示されています。地域企業の経営相談を、業務診断・AIの導入運用・成長業務への時間の再配分につなぐ支援体制の構築を掲げています。
このサービスから読み取れる示唆は、AI導入を検討する中小企業にとって、「まず何を削減するか」よりも先に「削減した時間を何に使うか」を決めておくことの重要性です。営業担当者が報告書作成から顧客提案へ、総務担当者が転記・集計から採用・育成へと役割を移すといった具体的な再配分の設計がなければ、AI導入は一時的な工数削減で終わり、事業成長にはつながりにくいという教訓が、このサービス開始の背景にはあります。新規事業や組織づくりを担う立場からは、AI導入を単体の効率化施策として捉えるのではなく、人員配置や事業戦略全体の見直しと合わせて検討する視点が、参考になりそうです。
■株式会社グローカルについて
名称 :株式会社グローカル
所在地 :東京都千代田区九段北1-4-3 GM九段下8・9階
代表者 :浅野道人
設立 :2012年01月
資本金 :1000万円
事業内容:中小・中核企業の事業戦略、営業、マーケティング、採用、人事、業務改善などを、企業の実情に合わせて一貫して支援する経営コンサルティング事業(これまでの支援プロジェクトは1,000件以上)
URL :https://www.glcl.co.jp/
■株式会社ビジョナスについて
グローカルグループの事業共創・商社機能を担い、中小企業、大手企業、自治体などとの連携を通じ、事業の実装・収益化を支援する会社です。戦略や助言にとどまらず、事業づくりから販路開拓・販売支援まで伴走します。
サービスに関する問い合わせ先:https://visionace.glcl.co.jp/service/ai-solutions
株式会社グローカル・2026年9月29日のプレスリリースより引用