迷子でも、電話番号や住所は開かない
ドッグケアブランド「mate」を運営するgood株式会社(東京都目黒区)は2026年8月26日、愛犬の情報を1枚のタグに集約するNFCサービス「mate Dogtag(メイト ドッグタグ)」を正式リリースしたと発表しました。首輪に付けたタグにスマートフォンをかざすと、その子専用のプロフィールページが開き、性格や健康記録、かかりつけの動物病院までを一目で共有できます。タグは1個500円(税込予定)で、2026年8月29日の「わんちゃん夜祭りDX」(三井アウトレットパーク入間)を皮切りに、秋以降の各ドッグイベントで順次販売するとしています。Webサービスの利用は無料です。
この発表で注目したいのは、「迷子モード」の情報設計です。mate Dogtagのタグは誰でも読み取れる前提で作られており、通常時に公開されるのは犬に関する情報のみで、飼い主の氏名・電話番号・住所は表示されません。飼い主が迷子モードをONにした場合に限り連絡のための導線が開きますが、そこで開示されるのも電話番号や住所ではなく、かかりつけの動物病院と飼い主のSNSアカウント(Instagram・TikTok)です。
なぜ「つながりやすさ」より「絞り込み」を選んだのか
迷子時に確実に連絡を取りたいなら、電話番号を表示する方が単純で速いはずです。実際、従来の迷子札の多くは電話番号を書く方式でした。それでもgoodは、迷子モードであっても連絡先を動物病院とSNSアカウントに絞り込む設計をあえて選んでいます。
背景にあるのは、タグが「誰でも読み取れる」ことと表裏一体のリスクです。首輪という常時露出する場所に付けるタグである以上、表示される情報は保護してくれた善意の第三者だけでなく、誰の目にも触れ得ます。電話番号や住所をそのまま載せれば、迷子時の連絡はしやすくなる一方で、飼い主の個人情報が四六時中さらされ続けることになります。goodはこの装置を「毎日着けたままにできること」を前提に設計しており、防犯・プライバシー面のリスクを常時抱え込むわけにはいきません。
SNSアカウントを連絡経路に選んだ点も、単なる代替手段ではなく実利にかなっています。多くの利用者が日常的に通知を確認しているアプリを経由することで、「電話に気づかない」という迷子対応でありがちな取りこぼしを防げます。かかりつけの動物病院を経路に含めたのも、健康情報を握る専門家を介すことで、保護した側と飼い主の双方にとって確実で安全な接続を成立させる狙いがあると考えられます。
主な機能
プロフィール(写真・名前・犬種・誕生日・好き嫌いなど)、16タイプ診断(性格をイラスト付きで可視化する独自診断)、健康記録(ワクチン接種・投薬記録の蓄積)、かかりつけの動物病院の表示、迷子モードの5つを備えます。素材には耐水性・耐衝撃性のPETGを採用し、常時装着を前提にしています。
読者への示唆
「便利さのために情報を開放する」のではなく「必要な相手にだけ、必要な情報を渡す」という発想は、個人に関するデータを扱うプロダクト全般に応用できる設計思想です。特にIoTデバイスやウェアラブルのように常時人目に触れる製品では、機能追加のたびに「見せられる情報を増やす」方向に流れがちです。しかしmate Dogtagの迷子モード設計は、利便性の最大化ではなく、開示範囲を絞ることで初めて安心して常用できる製品になる、という逆説を示しています。自社のプロダクトが個人情報とどう向き合うかを検討する際、「デフォルトで何を隠し、例外的に何を開くか」という視点は参考になりそうです。
なお同社は、2026年9月13日開催の「湘南DOG BOUSAI FESTA」への協賛も発表しており、来場者へmate Dogtagをノベルティとして配布する予定です。災害時に飼い主から離れた犬の身元確認手段が乏しいという課題に対し、日常使いのタグがそのまま防災インフラとしても機能することを狙っています。
連絡は取れるが、個人情報は渡らない。守るべきものを守ったまま、必要な接続だけを成立させる設計です。
mate Dogtagの価値は、【生体につくフィジカルなデバイスに、誰でも共有できる情報が集約されている】ということです。(mate 代表 横田佳祐氏)
■good株式会社について
会社名:good株式会社
所在地:東京都目黒区中目黒1-1-17 LANTIQUE207
代表者:関口太一
設立:2018年7月
事業内容:サービス業(ドッグケアブランド「mate」の運営等)
URL:https://good-inc.design/
good株式会社・2026年8月26日のプレスリリースより引用