何が発表されたのか

株式会社ベクトル(東京都港区、代表取締役社長CEO:西江肇司氏、東証プライム上場)のJOBTV事業本部は、2026年8月6日、採用ショート動画の再生保証パッケージ「JOBTV SHORTS」の提供を開始したと発表しました。同社が運営する動画採用メディア「JOBTV」の枠組みの中で、TikTok上のショート動画を軸に企業の認知を広げ、その再生を指名検索やエントリーへとつなげる新しい採用PR施策としています。

特徴は大きく3つです。まず、動画の制作費は0円とし、広告費(アド)を含むパッケージ料金の中で、企業の動画が「見られる」状態まで届くことを「再生保証」として約束する点です。保証再生回数を超えても追加請求は発生しないとしています。次に、企業ごとに採用SNSプランナーが伴走し、企画から配信・改善までを担当します。そして、動画採用プラットフォーム「JOBTV」への1年間の掲載を標準で内包し、SNSでの「出会い」から「JOBTV」上での「理解」へと導線をつなぐ設計です。

なぜ「第三者採用広報」という立ち位置を選んだのか

今回の発表で編集部が注目したのは、機能面の新しさよりも、サービスの立ち位置の定義の仕方です。ベクトルは「JOBTV SHORTS」を、企業に代わってSNSアカウントを運用する「運用代行」とは明確に異なるものと位置づけています。企業自身のアカウントを育てるのではなく、同社が運営する複数の就活メディア(TikTokアカウント)側から企業を紹介する形をとり、これを「第三者採用広報」と呼んでいます。

この選択の背景には、学生が企業と出会う経路そのものの変化があるとみられます。検索して媒体にアクセスする前に、SNSのフィードで偶然企業と出会うケースが増えているという認識です。この構造のもとでは、企業が自社アカウントだけで発信を強化しても、そもそも接触できる学生の数を増やすことは難しくなります。母集団を広げるには、既存媒体の「中」にいる学生への訴求だけでなく、まだ検索していない「外」の学生に接点をつくる必要があるという判断が、運用代行ではなく第三者メディア経由の紹介という設計を選んだ理由と考えられます。

もう一つの論点は、なぜベクトル自身がこの立ち位置を取れるのかという点です。同社はPR事業を長く手がけてきた知見と、自社の採用動画メディア「JOBTV」を両方保有しています。単発のSNS運用代行会社であれば「複数の第三者アカウントから紹介する」という形は成立しにくく、逆に採用メディア単体でも継続的な発信媒体としてのSNS運用力は持ちにくいものです。両輪を自社内に持つ体制があるからこそ、「運用代行」でも「媒体内の露出強化」でもない第三の選択肢を打ち出せたという整理ができます。

「JOBTV SHORTS」3つの特徴

動画制作費0円×再生保証

動画の制作費を別途課金せず、広告費を含むパッケージ料金の中で提供します。企業の動画が一定回数「見られる」状態までを再生保証として約束し、保証回数を超えた場合の追加請求は発生しないとしています。

担当エージェントの伴走

企業ごとに採用SNSプランナー(担当エージェント)がつき、魅力の棚卸しから企画・制作・配信・改善までを継続的に支援します。

「JOBTV」への掲載を1年間内包

SNSで認知を得た学生の受け皿として、動画採用プラットフォーム「JOBTV」への掲載を標準で内包します。配信後も掲載が残ることで、SNSでの「出会い」から「JOBTV」上での「理解」へと関心をつなぐ設計です。

プレスリリースでは、この立ち位置についてこのように説明されています。

JOBTV SHORTSは、企業に代わりアカウントを運用する「運用代行」とは異なります。当社が運営する就活メディア(複数アカウント)から企業を紹介する“第三者採用広報”という、新しいポジションを取りにいきます。

企業が自社アカウントを育てる「運用代行」とは異なり、JOBTVが運営する複数の就活メディア(TikTokなど)から企業を紹介する手法です。採用企業とは異なるメディアの視点で発信するため学生に自然に届きやすく、自社アカウント単独では届きにくかった層にも認知を広げられます。

読者への示唆

新規事業や新サービスの担当者にとって、この事例が示す論点は「機能で差をつけるのか、立ち位置で差をつけるのか」という選択です。動画制作費0円や再生保証といった条件面の工夫は他社にも模倣されやすい一方、「第三者採用広報」という立ち位置は、自社が保有する複数のメディア資産という前提条件がなければ簡単には再現できません。自社の既存アセットの組み合わせから、競合が取りづらい立ち位置を定義できるかどうかは、新規事業の企画段階で一度立ち止まって検討する価値のある問いだといえそうです。

■株式会社ベクトルについて

会社名:株式会社ベクトル
住所:東京都港区赤坂4-15-1 赤坂ガーデンシティ 18F
設立:1993年3月30日
代表者:西江 肇司
資本金:3,038百万円(2026年2月現在)
事業内容:PR事業、プレスリリース配信事業、ビデオリリース配信事業、ダイレクトマーケティング事業、メディア事業、HRTech事業、デジタルマーケティング事業、インベストメントベンチャー事業 等
URL:http://www.vectorinc.co.jp/

10のターゲット別メディア(TikTokアカウント)の紹介イメージ


株式会社ベクトル・2026年8月6日のプレスリリースより引用